丹波篠山 小田垣商店の黒豆

丹波黒について

丹波黒とは、兵庫県丹波地方発祥の「丹波黒」という品種名の極大粒な黒色の大豆で、秋ダイズ型極大粒種の晩生品種である高級黒大豆です。

丹波黒は丹波黒大豆や丹波黒豆、あるいはぶどう豆とも呼ばれ、その特徴は「粒が丸くて大粒である」、「モッチリとした口当たりのいい食感で美味である」、「表面に白い粉が吹いている」ことです。

ちなみに丹波黒の表面に吹いている白い粉はロウ(Wax)で、大粒のぶどうやりんごについている白い粉と同じ成分です。

丹波黒が大粒になる理由

開花から成熟するまでの日数が100日もあり、小粒種黒大豆の70日に比べて30日近くも永く養分を蓄積しながら成熟するためと考えられております。

栽培・収穫方法

一般的な黒大豆がほぼ機械で行われるのに対し丹波黒は主に手作業で行われ、反当り収量は一般的な黒大豆の約250kgに対し丹波黒は約130kgと少なく、丹波黒は栽培に手間暇のかかる収量の少ない黒大豆品種です。

丹波黒の栽培由来

栽培由来は詳かではではありませんが、貞享二年(1685年)編纂の篠山封譚誌に丹波の土産として黎豆(クロマメ)と、また寛政十一年(1797年)の丹波国大絵図に丹波国名産として「黒大豆」が記載されているほど古くから栽培されております。

多紀郡詩(1918年発行)には「黒大豆原産地南河内村川北(現在の篠山市川北)の一部で、1750年頃、当時の領主青山公が栽培を推奨し、その一部は幕府に献上された」との記録が残っております。

黒大豆の原産地である川北の黒大豆が名声を博した理由について、お國自慢(1952年兵庫県町村会発行)によると「丹波篠山藩主・松平公が川北に狩に来られた時、川北黒大豆を昼食に召し上がり大変気に入り、それ以来川北の年貢米の内十石は黒大豆で納め、青山公の末期まで続けていた。松平公は川北黒大豆を時の将軍に献上し、将軍もその風味を賞し、数多くの直参や家臣に振舞われたので、その味が江戸中にいい伝えられた」とあります。

その後、江戸時代の後期から明治時代にかけて、日置村(現在の篠山市日置)の豪農大庄屋の波部六兵衛と継嗣波部本次郎によって、優良な黒大豆の種が作られ、「波部黒」と名付けて奨励し、今日の丹波黒の礎がつくられました。

多喜郡笹山町金屋町(現在の篠山市立町)の小田垣商店先代「小田垣はと」は明治元年種苗業に転業し、生産量の限られていた黒大豆の種子を地元生産者に配り栽培方法を教え、収穫された黒大豆を生産者から直接仕入れて黒大豆の販売を開始しました。

多紀郡誌には明治時代後期から大正時代前期の多紀郡の黒大豆の流通の様子について「多紀郡の黒大豆の販路は東京・大阪・京都地方で、収穫時期には商人が農家から買い取りに来るが、耕作面積が少なく需要家の希望に応えられない」と記載されております。

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丹波黒の品名と特徴

昭和九年には郡農会の斡旋で従来の「川北黒大豆」「波部黒大豆」という名称を「丹波黒大豆」に統一し、その後、兵庫県農事試験場は古くから丹波地方で栽培されていた黒大豆の在来種(波部黒)を取り寄せ、明石本場と但馬分場で品種特性の把握の比較試験を行い、昭和十六年(1941年)に兵庫県が「丹波黒」という品種名を命名し兵庫県の奨励品種としました。

1950年代までの丹波黒は早生系統から晩生系統まで各種あり、系統選抜を何十年も繰り返すことで大粒化し、成熟時期はより晩生化していきました。

ちなみに、昭和中期まで「波部黒」と呼ばれ多紀郡で流通していた黒大豆の特徴は、形が楕円形で、やや早熟種の黒大豆でした。現在「波部黒」系統とされる丹波黒は粒形が丸粒で晩生種となっておりが、それは長い時代をかけて種子の交配や系統選抜が繰り返され、川北系統の晩生・丸形黒大豆が時代に選ばれるようになったためと考えられます。

丹波黒の百粒重推移

1950年 兵庫県47.3g ※農林省「大豆品種特性表」
1953年 多紀郡51.4g・京都40.0g
※永田忠男著「丹波黒大豆の栽培に関する2,3の考察」
1976年 兵庫県和田山60g ※但馬分場成績書
1979年 多紀郡63.8g~65.9g大豆共励会調書
1985年 篠山75.3g・和田山74.3g ※但馬分場成績書
1988年 和田山79.3g ※但馬分場成績書

成熟時期、他

1953年永田忠男著に「成熟期は11月上旬」と記載されているのに対し、現在の成熟時期は11月中下旬まで晩成化してきており、丹波黒は1950年以降数十年を掛けて大粒化・晩成化してきたことが分かります。

なお、丹波黒には地域によって様々な商品名がありますが、京都府の和知黒や新丹波黒・紫ずきん(晩生種)、兵庫県篠山市の川北黒大豆・波部黒・丹波篠山黒大豆、それに岡山県勝英地方の作州黒と呼ばれる黒大豆も、全て正式な品種名は丹波黒です。

 

参考文献

  • 「大豆編」・「丹波黒大豆の栽培に関する2,3の考察」永田忠雄著
  • 「丹波黒」兵庫県
  • 「日本における大豆品種とその分布の意義」農林省振興局研究部
  • 「京都府における丹波黒大豆の生産」山下道弘著、「篠山町百年史」篠山町

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